俯く彼だが、表情は分かる。微笑を浮かべている。
「では、私は地獄でこの戦いの行方を見守るとしようか……ではな」
人間では有り得ない、身体が砕け散り消滅するなどという最期を彼は遂げた。コレが、力に身を沈めた者の最期。
「……さっさと防衛システムを止めるぞ、フィリア」
「は、はい……」
彼等は奥に進み、様々な機器が置かれている場所に到着する。そこでフィリアがクレメンテの指示でパネルの操作を始めた。
治癒晶術を受けながらそれを見守る青年が、少年に声を掛ける。
「リオン……」
「何だ」
「……行方不明になったオベロン社の幹部って……」
「……お前がやらなくても、僕はやる。僕達は“天上人”である男を討った……コレは戦争なんだ、戦争に後戻りは許されない」
この中で一番若い少年が口にした言葉が皆に重くのし掛かる。
フィリアの作業が終わったのはそれから数分後の事。
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bkm
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