彼は清々しい顔をしている、リオンには理解出来ない顔を。
「独り善がりだと言われても構わない、同胞達が救われればそれで良かった……と言えば聞こえは良いが、結局自分が楽になりたかったのかもしれないな」
「……ヒューゴがカルバレイス人を救うと本気で思っていたのか」
「思っていたさ……思うしかなかった。最早後戻りは出来ない道、信じるしかなかった」
不意に彼は告げた。
「しかし運命とは不思議なモノだな……本当は、君は此方側につく筈だったというのに」
「何だと……?」
流していけない言葉、リオンは僅かに狼狽えながら平静を保つ。
「彼女……セシルが、君を此方に寄越さなかった……足手まといにしかならないと、言ってな……」
「……お前……セシルの何を知っている……」
保っていた平静が崩れかけ声が震える。
「さあ……総帥が、何処からか連れてきたとしか……」
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bkm
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