虫も動きを止め消滅していき、皆バルックの下へ歩み寄る。
「……私の、完敗だ……この場所は君達に渡そう……」
「バルックさん……」
「フフッ……感謝するよ、こんな私に真っ正面から挑んでくれた事に……だからだろうかな、君達が少し、羨ましく思える」
何故彼は笑うのか、若者達には分からない。
「私は、私の道を選んだ事に悔いは無い……しかし、もう少し若ければまた違っていただろうな……君の言葉に心が揺れ動いていたかもしれない」
「歳のせいにするか、バルック」
「ああ、私も若い頃は夢を見ていた、カルバレイスを豊かにすると……だが歳をとっていくに連れて夢は消え、現実しか見られなくなる……その時点で私は、カルバレイス人の可能性を否定し、過去の栄光にすがった……愚かな事だ」
「……ヒューゴに利用されているとは思わないのか」
リオンの問いに彼は嘲笑する。
「分かっていたさ……だから劇薬を選び飲み干したんだ……」
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bkm
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