まるで代弁をしてもらっているかの様だった。だから何も言わなかったし、反応もしない。
現実は、予想以上に重いのだ。
「……どんな人か知ってる? その、母親の事……」
「……誰にでも分け隔てなく優しかったという話はよく聞いていた」
「ふーん……」
「……お前と大違いだな」
小声の言葉に彼女は口元を引きつらせる。
「悪かったわね……どうせアタシは強欲の魔女よ、この甘党剣士が」
「甘党である事と剣士である事に関係性は無い」
「だったらもっと堂々と甘い物食べればいいじゃない。コソコソと、男らしくないわね」
「男が堂々とパフェを注文する方が変だろう」
甘党に関してはどうでもよくなったのか、開き直る勢いで反論した。
そして返されたのは直球過ぎる言葉。
「女みたいな顔してんだからべつにいいじゃない、身長体型もそうだしー」
「貴様……!」
「大体、アンタ国外で一部の人間から何て呼ばれてるか知ってんの?」
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bkm
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