「…………」
「…………」
遠くから機械音が聞こえる程に静か。
口火を切ったのはルーティ。
「アンタ、アタシの事知ってたの?」
「ああ……手配書にお前の名があった時は流石に驚いたがな」
「ついでに呆れたと」
「呆れるどころか裏切られた気持ちだ、どんな姉なのか想像なんてするんじゃなかった」
吐き捨てる様に言うリオンに対し、ルーティは笑った。
「案外、可愛いトコあるじゃない。まあアタシも似た様なモンだけどね」
「親の事を考えていたわけか」
「そ、でもシスターに訊く事はしなかったわ、今の家族を裏切る気がして。実際、そんな余裕も無かったし」
彼女が指命手配された根本的な理由も、彼女の“今の家族”の為。
リオンには少々理解出来ない事だった。
「べつに慣れっこだけどね、いきなり家族が増えるとか、居なくなるとか……血の繋がりも、ただそれだけって思ってた。でもやっぱり、いざ目の前にするとそうもいかないわね」
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bkm
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