珍しくシャルティエに押される形のリオン。無表情だが、内心動揺していた。
それを知らないスタンは彼に声を掛ける。
「リオン、任せてもいいか?」
「ああ、さっさと行って来い。気を使うぐらいなら待たせるな」
「うん……分かった、なるべく早くRキーを手に入れてくるよ」
普段と変わりの無い彼の言葉。
スタンも普段と変わらない笑顔で言った。
「フン……シャル、此処にお前を置けばいいんだな?」
《はい、それだけでいいです》
リオンが静かにシャルティエを窪みに置くと、扉は機械音を立てながら開く。
スタン等は息を飲み、奥へと進んで行った。
「…………」
《坊っちゃん、ごめんなさい、勝手な事を言って》
「いや……いいんだ、少し、安心している……」
壁に背を預け少年は、ゆっくり息を吐く。
「虚勢を張ったはいいが……あの女と行動しているだけで胃が痛くなる……」
《坊っちゃん……》
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bkm
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