それが大きな嘘だというのはすぐに分かった。
「……セシルに会ったあの島で、何かあったんじゃないか?」
「そんなの……大した事じゃないわよ」
「そうか……あったのか」
「あ……」
隠しきれない、情けない、彼女は自分に呆れる。だが、それを口にするのが恐ろしかった。
するとマリーは優しい声色で告げる。
「言いたくないなら、言わなくていい」
「マリー……」
「何があってもルーティはルーティだ、私はそれをよく分かっているつもりだ。だからコレだけは忘れないでほしい、私は何時だってルーティの味方だから」
「……うん、ゴメン……ありがと」
少しだけ安心した、ほんの少しだけ。
だが、誰とも会話をせず眼を閉じている彼はどうなのだろうか。
《ルーティ》
「……大丈夫よ」
何が正しいのか分からないなら、与えられた道を進むしかない。
それしかないと言い聞かせる。
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bkm
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