21

 彼が将軍に見せたのは1本の鍵。

 何も言わずとも将軍は理解し、彼しようとする事に無言で賛成する。


「…………」


 箱の鍵穴に鍵を挿し回すと、小さな音の後に鍵は開いた。

 そして箱を開け、彼は眼を見開く。


「なっ……ぁ……」


 中に入っていたのは、彼には見覚えのある物ばかり。アクセサリーや出先で買った土産物、彼が彼女に贈った物。

 冊子を開くと、沢山の写真が収められている。2人や、マリアン、そしてフィンレイ・ダグ等と撮った物だった。

 全て綺麗に箱に収められている。


「…………」


 言葉が出なかった、何を言ったらいいのか全く分からない。

 コレが彼女の“秘密”なのだとしたら、やはり彼女は迷い続けていたのか。


「……セシル……!」


 膝をつき、人前にも関わらず彼は声を殺し泣いた。心の奥に閉じ込めていた感情が溢れ出す。

 フィリアやチェルシーも涙を流し、スタンは歯を食い縛った。


prev next

bkm

[back]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -