セインガルド――それも首都であるダリルシェイドに住む者ならば一度は見たことのある竜。
その名前が出た事にドライデンやレイノルズを始めとした他の者達も驚いていた。
「飛行竜が天上軍の兵器……でも司令、それが何故地上に残っているんです?」
普段の飄々とした科学者としてではなく、真剣に目の前の問題に取り組む科学者としてレイノルズは質問をする。
司令と呼ばれたリトラーはすぐに答えを口にした。
《確かにアレは天上軍の兵器だが、兵器である事を取り除けば巨大な運搬船という平和利用が可能だからだ。天地戦争が終結した後地上は荒れ放題だった故、例え天上軍が作った物だったとしても利用しない手は無かったのだよ。流石に、今の時代にまで現存していた事には驚いたが》
「今ではセインガルドの象徴だからな……皮肉なものだ」
リオンは極々小さな声で呟いたが、それはシャルティエと、ドライデンの耳に届いていた。2人共、だから何かを言うわけではなかったが。
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