“あの男”、それが世の倫理を破壊した者。
マスター達は何も言わないソーディアン達から、怒りが感じとれた気がした。
《ミクトラン、それが天地戦争の火蓋を切った男の名。奴は地上の様々な情報を天上側に売り渡し中心へと潜り込んだ。そして言った、“天上は我々選ばれし者達の地、地上に生きる薄汚れた者達に荒らされてよい大地ではない”と》
千年前を知らなかった者達にも怒りが見えていた。
そして理解した、希望が絶望に変わった理由を。
《選民思想が浮き彫りになりかけていた者達が、ミクトランの誘惑に抗える筈がなかった。天上ではミクトランを中心としたクーデターが起こり、驚くべき速さで天上の全てを掌握してしまった。そして奴は自らを“天上王”と名乗り、天上を“天上軍”として軍事国家に作り替えてしまったのだ。
その際ベルクラントを兵器転用し、更に当時生体金属として注目されていたベルセリウムという物質とその他の物質を完全結合させるという常識を覆す実験結果を披露し飛行竜を始めとする様々な天上兵器を作り上げた》
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bkm
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