「リオン、太刀筋は良いんだが、お前は周りが見えなくなる傾向があるな」
「はい……」
「1人で戦う状況というのは非常に少ない、それを忘れるな」
「……分かりました」
将軍フィンレイ・ダグの言葉に、少年は俯き気味に頷く。
すると厳しい表情だったフィンレイは一変して優しい笑みを見せ頭を撫でる。
「調子が悪いのはセシルが居ないからかな」
「えっ……いや、そんな事は……」
指摘に対し少年は全力で首を横に振る。
しかしそれは非常に分かりやすい反応であり、将軍は失笑していた。
「君が彼女を大事に思っている事はよく知っている、無理をしなくてもいいだろう」
「で、でも……彼女はきっと、僕の事なんか……」
優秀で人柄も良い彼女は、父の命令で傍に居るだけ。だから特別な眼で見てくれることは無い。
分かってはいるのに溜息が漏れ、また頭を撫でられた。益々情けなく思ってしまう。
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bkm
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