彼女の言う通り、その音は近づいてきていた。
「マジで海水が、流れ込んできてるってわけ……!?」
退路は絶たれ、前にも進めない、正に絶望的。
「くそっ、どうしたらいいんだよ!」
当然であるスタンの叫び。
セシルはリオンの肩を借り立ち上がり、ある場所に指を差した。
「明かりが落ちて、分かり難い……けど……横道があって……緊急用のエレベーターが、ある、筈……」
「……分かった、行こう!」
スタンを筆頭に迷いなく彼女の言葉を信じた皆は、エレベーターがあるという横道を見つけ進む。所々明かりが落ち薄暗くはあるが、まだ崩落は起きておらず少々開けた場所ですぐに強めの光を放つライトが付けられたそれは見つかった。
「あった! エレベーターってアレだよな!?」
「ん、うん……予備電源で、自動ではないから……早く、パネルの電源を……」
切々に説明をする彼女と共にエレベーターに乗り、フィリアが急いでパネルに触れようとしたが、すぐに異常に気付く。
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