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「どうして……逃げ、なかった、の……」


 地上に出れば済む話なのに、見捨てればいいだけなのに、彼の行動理由が全く分からない。

 足音が聞こえ、他の皆も歩み寄って来ている事に気付く。


《暴走が、止まった》

《良かった……2人共無事で……》

《流石、坊っちゃんですよ》


 安堵の空気が流れる中で、リオンは彼女に言った。


「確かに、お前の言葉を聞いて僕は失望して、絶望して、一瞬憎んだよ……。でも大事なんだよ……例えヒューゴの手先だとしても、僕の知らない誰かだとしても、今までの日常が嘘だったとしても、傍に居てほしいんだ……!」


 客員剣士という立場ではなく、1人の男として訴える。勅命に公私混同をしていると言われても、彼女を失うという事が考えられなかった。

 彼女は声を殺し泣き、首を横に振る。


「……っ……エミリオ……! 私はっ……君を騙して……でも……!」


 やっと分かった、一緒に居たい、それだけだった。死なせてしまったフィンレイとの約束を守りたくて、笑ってくれると安心して、名前を呼んでくれると嬉しくて、だから一緒に居たい。


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bkm

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