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 当然ながら視線は彼女に集中する。

 皆が見る表情に感情は無い。


「アンタ、殺して喜ぶどころか、殺されて悔やんでんじゃないの?」

「…………」

「結局アンタは、誰なのよ」

「……黙れ……」


 皆、空気が変わったのを感じた。

 一瞬張り詰めたモノが、一気に崩壊していく感覚。


「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れェ!!」


 頭を抱え、涙を流し、叫ぶ。

 何かを拒絶する様なそれは、酷く弱々しい。


「私を信じるな……、信じないでくれ!」


 それは、時計塔での出来事に似ていた。


《いかん! 晶力が暴走しているぞ!》

《コレは……このままでは彼女ごと、この空間を破壊するわ……!》

《グレバムの時より厄介じゃぞコレは……!》

《でも、どうやってセシルを止めたら……坊っちゃん!?》


 走り出したリオンは真っ直ぐ彼女に向かった。後ろからスタン等が名を叫ぶのを耳にしたが振り返らない。


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bkm

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