それはとても優しかった。きっと醜くないから、そう思った。
だが、
「彼の間者だと知りながら、私を信じるから……っ、だから、だからフィンレイは殺されたんだ!
お前達だってそうだ! だから、此処で死ねェ!」
何十もの黒の光球が召喚され、一斉に撃ち出される。
スタンがリオンを抱えて後方に下がり、同時にフィリアは障壁を張り、そこにルーティの補助術も加わり攻撃を防ぐ。
しかし勢いはかなりのモノであり、少し気を抜けばフィリアの身体が吹き飛ばされてしまう。
「リオン! しっかり……」
「うるさい……しっかり、している……!」
スタンの呼び掛けにリオンは自分の足で立ち、攻撃を続ける彼女を見た。
泣いている様に見えるのは、気のせいなのだろうか。
「……行くぞ、スタン」
「……分かった」
2人は走り出し、なるべく攻撃を分散させる。
少し余裕が生まれ、ルーティとウッドロウが詠唱を開始した。
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bkm
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