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「セシル!」


 肩で息をする青年が呼び掛ける。


「俺、やっぱり信じられないよ……嘘ついている人間が、あんな楽しそうにリオンの事話すかよ!」

「だから、それは……!」

「そうですセシルさん! 貴女はリオンさんの事を話す時が、どんな時よりも感情が豊かでした! それが偽りだなんて、私には思えません!」


 聖職者が訴える。

 一番付き合いが短い王も、続いた。


「ハイデルベルグで神の眼の破壊を試みた時、君は誰よりも全力だった様に見えた。それは、私の眼が濁っていたという事なのか?」

「な、に……」


 一体彼等は何を言っているのだろうか。どれも覚えの無い事ばかりで、どれも理解が出来ず、どれも自分では無い。

 だがそれが真実ならば、此処に居る自分は何なのか。


「地上の民が、ゴチャゴチャと……」


 不意に“彼”の言葉を思い出す。


『セシル、君は優しい人間だな。だからというわけではないが、彼を……リオンを助けてやってほしい。彼には先ず、信じられる人間が必要なんだ』


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bkm

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