リオンが弟だからとか、彼が父親だからとかそんなモノは関係無い。説教出来る様な性格ではないのも確かだが、やはりそれ以上に許せないのだ。家族とも呼べるモノを侮辱するのは。
侮辱した女は目元を引きつらせていた。
「好き放題言っているのは貴様の方だろうが!
醜いという理由だけで親からも見捨てられた私に、存在する理由をくれたのは彼だけだった! そんな彼を助けて何が悪い!」
「悪くないわよ! でも信じてる人間を傷付けて侮辱していい理由にはなんないわ!
何が存在する理由よ! んなモノ自分で見つければいいじゃない! アンタには自分の意思が無いわけ? その眼はタダの飾り!?」
「……!!」
怒りに対し、女は僅かに狼狽える。
術前の張り詰めた空気が、大きく乱れた。
「私は……私の意思で此処に居るんだ! 愚弄される覚えは無い!」
意志はある、れっきとした自分の意思があると叫ぶ。
反して動悸は少しずつ大きくなっていく。
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bkm
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