足下に陣を敷き、女は深紅の眼を楽しそうに細める。


「喜びたまえソーディアン諸君……外郭計画の完遂はすぐそこだ」

《何だと!?》


 先程の術を超える晶力が空気を震えさせた。

 一撃で葬り去らんとする意思の具現に、今度は氷塊が襲う。術者はウッドロウの肩を借り、震える足で立ち上がるルーティ。


「アンタさァ……さっきから何を好き放題言ってんのよ……ヒューゴの為だけに力を尽くす? ならアンタが言ったリオンを心配する言葉も、その時も表情も演技だったってわけ!? ふざけんのも、人を馬鹿にするのも大概にしなさいよ!
 そいつとずっと一緒に暮らしてたんでしょ!? アンタ何も思わないの!? あんな……あんな、男の言いなりになって、何が楽しいのよ!
 アンタには、心ってモンが無いの!?」


 ルーティ本人にも、自分が何を言っているのか分からなかった。ただ1つ、人の心を踏みにじる彼女の言葉が許せないのは確かだった。


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bkm

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