ディムロスが言った裏切り者という言葉がリオンの頭の中に木霊する。呼び掛けるシャルティエの声が聞こえるが、答える事が出来ない。
追い討ちを掛ける様に彼女は口を開いた。
「裏切り者ね……元から君達の仲間ではない私としては裏切るも何も無いと思うけどね」
《貴様、何処まで……!》
「何処までも何も最初からさ。でなければ……」
それは穏やかで静かな声だった。
「フィンレイ・ダグを殺したりはしないさ」
「……え……?」
その名前に少年はゆっくり顔を上げる。その名を持つ人物をよく知っているからだ。
膝をつくウッドロウが心当たりを口にする。
「フィンレイ・ダグ……確か七将軍を結成した天才であり、次期国王とも謳われた男……だったな」
《その方とリオンに、どんな関係が?》
皆が思っているアトワイトの疑問に、シャルティエは重い口を開く。
《フィンレイ様は……坊っちゃんとセシルの剣の師匠で……表向きは病死だけど……何者かに暗殺されたって、噂があって……》
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