「くっ……、セシル……!」

「チッ……!」


 苛立っている様子の彼女は舌を打ち、リオンに手にしている7本目のソーディアンを向けた。


「貴様、本気を出さず私に勝てると本気で思っているのか?」

「…………」


 そうだ、本気を出していない。否、出すことが出来ない。

 人の決意なんてモノは脆いモノだと少年は痛感する。

 それを彼女は笑った。


「まさか、まだ私を信じているとは言わないだろうな?」

「……!」

「なるほど、図星か……どんなに高名でも所詮はか弱き人間、現実から眼を逸らすのが好きらしいな」


 悔しい、だが真実であり現実だ。どうしても、一緒に暮らした日々が嘘だと信じたくはなかった。

 スタンが訴える。


「な、何でだよセシル! お前は俺達をあんなに助けてくれたじゃないか!」

「当たり前だろう? 自ら犯人ですと分かるような行動をするクロが居ると思うか? かつての英雄の主は、随分楽観的思考をお持ちだな」

《黙れ! 裏切り者に言われる筋合いは無い!》


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bkm

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