普段と変わらない柔らかく穏やかな口調。だが奥底には嘲笑が見え隠れしている。


「素直な人間は大好きだよ、扱い易くてさ」

「セシル……何故お前は此処に居る……!」

「それは、わざわざ説明しなければならないのかい?」


 リオンの問いに質問を返すと、セシルの後ろにある通路から男は現れた。

 誰よりも、リオンがその男を知っている。


「フン、女を追いかけこんな所まで、わざわざご苦労な事だなリオン」

「ヒューゴ……貴様……!」


 その言葉と、隠そうともしない威圧感に皆は確信する。

 ヒューゴはクロだと。


「グレバムも貴様の差し金かヒューゴ!!」

「ああ、アレはよく働いてくれた。世界の王にしてやると囁いただけで、全て予定通りに……いや、自滅という最期を遂げたのだ、我々の手間が省けたという点では予定以上とも言えるな」

「な、何て事を……!」


 フィリアが怒りと嘆きの言葉を口にする。

 ソーディアンを含めた他の者達も怒りを露にしていた。


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bkm

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