目的地である無人島の周辺に見張り等は無いが、不気味な雰囲気を醸し出す大きな建物がそこにある。

 船着き場には船は無く、同時に人の気配も無い。


「コレは……工場、か……」


 呟いたリオンが見た建物の内部は、正に工場だった。

 ベルトコンベアやリフト、ロボットアーム等が少々乱雑とした無機質な空間。


「この規模から察するに、オベロン社の廃工場、と言った所か……」


 ウッドロウは廃工場とは言ったものの、数ヶ月程前までは稼働していた様な部分が見受けられた。

 床に落ちている何も書かれていない紙は何年も放置されていた様な物ではなく、所々にはあまり劣化が見られないエネルギー切れのクズレンズの山が置かれている。そして何処からか機械音が聞こえる事から、電源はまだ生きているのだろう。


「でも、何でこんな大きな工場今まで見つからなかったんだ?」

「この島がある海域は点々と島があって船は動き難く、殆ど船は通らないだろう。それに海岸からも本来は見えなかった筈だ……上陸する際、故意に木を倒した様な所が見られたからな」


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bkm

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