《自暴自棄にならなければいいがな……》
ディムロスの呟きはもっともで、シャルティエも頷くしかない。
しかし何を言っても今の少年には届かないだろう。
《子供が戦いに巻き込まれる哀しさ昔も今も変わらんのう……》
《ええ……そうですね……》
戦人達は過去の戦を思い出し、その虚しさを噛み締める。
巻き込まれてしまった少年は、やはり周りの言葉が耳に入らないでいた。
「やっぱり、城で待ってた方が……」
「僕が前に出ずに誰が指揮を取るんだ。事は一刻を争う、私情に動かされている場合じゃないんだ……」
その考えを尊重したのは、事の成り行きを見守っていたウッドロウだった。
「確かに、私情を挟み何とか出来る程事態は甘くはない……神の眼が関わっている以上、ソーディアンマスターの力は必須だろう。……だがソーディアンマスターは君だけではない、それを覚えていてほしい」
「……ああ」
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bkm
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