最悪のシナリオは回避されている“筈”。第一現代の人間が“それ”を知る筈が無いのだ。
ならば今、堂々と神の眼を奪ったのにはどんな理由があるのだろうか。
《まあ、神の眼は千差万別に利用出来るからな……どんな理由にせよ奪還はせねばなるまい》
ディムロスの意思に皆は賛同する。
故にディムロスは、今一度確認した。
《シャルティエ、本当にリオンは無関係なんだな?》
《当たり前だよっ。ヒューゴはともかく、確かに坊っちゃんはセシルの事が好きだけど……でも……》
言葉を詰まらせるシャルティエだが、ゆっくりと無関係の理由を仲間に話す。
《坊っちゃん……セシルに薬を盛られたみたいなんだ……》
《何と……》
クレメンテを始め、他の皆も少年の心中を察する。
迷い、哀しみ、苦しみ、どんな想いで彼女を追おうとしているのか。それを決断するには、彼は若過ぎる。
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bkm
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