「それって、この間見たヤツ……?」

「ああ、彼女が残した言葉を考えるとその可能性が高い」


 迷いが見えない眼で語り、少年は王に進言する。


「陛下、セシル・オルグレンを追う許可を私にください」

「リオン……しかしだな……」


 少年の立場を知っている王は言葉を濁す。当然他の者達も賛同するわけにはいかなかった。

 しかし彼の意思は揺るがない。


「彼女の力量は神の眼を奪い去った時点で明白です。最悪大隊でも敵わないのではないかと思います。
 ですから彼女の戦い方を知っている私が向かうのが的確かと、神の眼も関わっている事ですし」

「……そなたは、それで良いのか」

「覚悟は出来ています」


 その覚悟を少年は言葉にした。


「何をしてでも、神の眼を奪還します」


 何をしてでも、それは言葉通りの意味だろう。

 揺らがぬ覚悟に、誰も何も言えず、玉座の間に重い沈黙が流れる。


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bkm

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