彼は何を言っていれのだろうかと、皆は思う。
今彼が言った名は、
「そんなっ、何言ってんだよリオン! セシルがそんな事をするわけが……」
「じゃあ、何故彼女は此処に居ない」
スタンの言葉に温度の無い言葉が返される。
「襲撃を受けた兵は負傷していたが死亡者は居なかった。その誰もが証言したんだ、襲撃者はセシル・オルグレンだと」
「……何で……セシルが……」
「さあな……しかも同じタイミングでヒューゴとオベロン社幹部数人が姿を消している」
淡々と、異様な程に彼は話した。
皆が言葉を失っても、その無表情を崩さない。
「閣下、飛行竜の行き先は」
「いや、まだ分からん……何分一瞬の事だったからな……」
「そうですか……」
実は、と少年は言った。
「心当たりがあります」
彼が話したのは、クレスタから北ある海岸沖の無人島。
それを聞いたルーティが小さく声を上げた。
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bkm
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