時間だけは過ぎていく。

 何もかもに自分が置いていかれ、自分の知らない世界に堕ちた様な、孤独の時間が過ぎていく。


「…………」


 この眠りから覚めたらまた何時も通りの日常に戻れるのではないかと、そんな小さな希望を抱き彼はまた眠りについた。


「良かったのか?」

「言葉の意味を理解出来ないのだが」


 飛行竜の操縦席に座る女は、褐色肌の男の言葉に冷たく返す。


「……彼を此方に引き込む事も出来た筈だが」

「引き込んだ際のメリットは皆無だ。私は無駄な事はしたくない……あの街で過ごした年月の様にな」

「……お前は一体何者だ」

「くだらん質問をするな、貴様は同胞の為にという目的の下で我々の言う通りに動けばいい。……まさか、イレーヌの様に怖じ気づいているのではないだろうな」


 立ち上がり、間を詰める女は不適な笑みを浮かべている。

 まるで全てを抑圧しようとする絶対的な独裁者。


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bkm

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