その何者かは、言われなくても理解出来る。だがしたくない。
もう泣き叫んでしまいたかったが、将軍は更なる事実を口にした。
「そしてヒューゴとオベロン社の幹部数名が連絡を絶ち、消えた。どういう事か分かるか?」
「……嘘だ、そんな事……あるわけが……」
何が起きているのかを理解する事は出来ても、認める事なんて出来るわけがない。
こんな悪夢の様な現実を、否定する以外の選択肢は存在しない。
「ソーディアン、そしてソーディアンマスターに招集を掛けた……それまで身体を休めておけ」
言葉の具合から察するに、少年の身に何が起きたのかは知っているらしい。
多くは語らず将軍は医務室を去った。
「……シャル」
《はい……》
「…………」
泣き叫ぶ事が出来ないのは、まだ希望を願っているからか、自分の立場を理解しているからか。
昨夜の言葉が脳裏を過る。
「……そんな……事が……」
prev next
bkm
[back]