何とか意識を保っているのがやっとであり、笑っている彼女に集中する事が出来ない。

 するとセシルは音も無く立ち上がり、少年の肩に手を置き小さな声で語り掛ける。


「君は本当に可哀想……自分でそうは思わないかい……?」

「あ……っ……」

「君が一番疑うべきだったのは私……無知は罪という言葉がお似合いだ……」

「な……何、で……」


 笑っている女性の服を掴み、少年は涙を流す。

 薄れる意識の中で、今のこの状況が嘘だと否定する。


「君が嫌うヒューゴが私を連れてきたのだから……もう、分かるだろう?」

「……、……!?」

「私を信用した時点で、君の負けは決まっていたんだよ」


 穏やかで、冷たい声。眼は嘲笑し、非情な現実を突き付ける。

 倒れそうになる細身の身体を抱き止め、優しく告げた。


「あの島においで、始まりの場所だ」

「……っ……」


 最後の力を振り絞り彼女の顔を見た。

 泣いている様に見えたのは、自分が泣いているせいだろうか。


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bkm

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