セシルは手に取った指輪をじっくりと見つめる。そして気付く。
「私の名前が彫ってあるんだね」
「ま、まあ、落とした時とか困るからな、持ち物に名前を書くのは当然の事で……」
「フフッ、そっか、ありがと。……付けてもいい?」
「もちろん……」
頷くと彼女は指輪を填め、ようとした。
「……あれ?」
「……ん?」
10本の指全部に填めようと試みたが、結局全部微妙にサイズが合わない。
気まずい空気が流れる。
「……も、目測は、やはり駄目だな……」
「で、でも嬉しいよ!? だって、リオンが私の為に買ってくれた物だから……そうだ」
以前マリアンから貰ったネックレスを外し、それに指輪を通し再び首につけた。
どちらもシルバーで、一体感がある。
「こうすれば、大丈夫だね」
「……うん」
彼女は、まるで子供の様な笑顔を見せる。
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bkm
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