「あー……病み上がりの人間をこき使い過ぎだって……」
「断ればいいだろう」
「いや、長い休暇だったからさ……」
なんという矛盾。
リオンは失笑し、セシルも釣られて笑いながら城の廊下を歩く。
「結構いい時間だね……流石に緊急以外は仕事入らないだろうし、これからどうする?」
「部屋に戻って……えっと、休むか……」
どうにも歯切れが悪いと自覚する。原因はよく分かっているが、だからこそどうにも出来ない。
そんな様子に気付いたらしいセシルは気兼ねせずに訊く。
「どうしたの? 何処か行きたい所とかある?」
「……行きたい、所……まあ、うん」
「じゃあ、行こうか」
「ん、うん……」
良い意味でここまで緊張したのは初めてだと、少年は高鳴る鼓動を抑え一度部屋に戻ってから彼女を自分が行きたい場所に案内した。
夜の町は静かで、雰囲気は非常に独特なモノを感じる。
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