「ったく……ところでアンタ、もう身体は大丈夫なわけ?」
「もちろん、じゃなかったら復帰なんかしないよ」
「だといいんだけどさ……アンタ無茶したがるから」
「あー……うーん……否定しきれない」
セシルが失笑すると、ルーティも釣られて笑った。
その様子を見ていたシャルティエは、口を閉ざすマスターに声を掛ける。
《やっぱり、女性同士は話が盛り上がりますね》
「かしましいとは言うが……セシルはそうじゃないだろう」
《坊っちゃん、本当にベタ惚れなんですね。今夜、頑張ってくださいよ?》
「ん……あ、ああ」
無意識に気を引き締め、高鳴る心臓を静めようとする。
女性2人の会話は小声で続いていた。
「あ、あのさ、スタンから何か連絡とか、来たりしてる……?」
「前に手紙が来たくらいかな、妹に睨まれてるって。気になるならちゃんとした住所教えておけば良かったのに」
「べつにっ、気になるとかじゃないのよ……!」
prev next
bkm
[back]