やはりリオンに似ている、セシルは表には出さずそう思う。
そのリオンは、海の向こうを見つめ首を捻っていた。
「どうしたの?」
「ああ……あそこに建物が見えてな」
指を差す先の小島には確かに建物が見える。
遠目だが、何となく不気味だと思えた。
「今まで気付かなかったわ……まあ、あんなに遠かったら仕方ないだろうけど。でも何の建物かしらね……あんな所、船を接岸するのも大変でしょうに」
「無人……だろうか」
「どうだろうね……もし長年放置されていたなら、モンスターなんかが住み着いているかもしれないね。あ、幽霊屋敷ってのも一興かな」
「ちょっ……幽霊とか止めてよね……」
狼狽えるルーティに、セシルが至極不思議そうに訊く。
「あれ、ルーティって幽霊とか駄目なタイプ?」
「駄目ってことはないけど、職業柄よく墓荒しとかが悲惨な最期を遂げるって話聞くのよ……。それがものすっごいリアルで、思い出すだけで鳥肌が……!」
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bkm
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