《坊っちゃん! 後ろ!》
「……!?」
我に返った彼は背後からの攻撃を避け、空いた脇腹を蹴り飛ばす。
集中しろと自分に呼びかけ、彼はセシルと共にモンスター達を掃討した。
「……ふう、こんなモノかな。やっぱりモンスターの体内にあるレンズが異常をきたしているのかな……」
モンスターの残骸から拾い上げたレンズを太陽光に透かし観察する。
少年はシャルティエを収め、普段と何ら変わり無い筈の彼女を見た。
「…………」
きっと自分が色々悩んでいるせいだ。そして彼女も体調不良の中あの戦いに身を投じ、今も万全ではない。
何も変わらない、彼はそう信じた。
「まったく、こんな時にレンズ研究の代表者が不在なんだから……やんなっちゃうね、リオン」
「あ、ああ……」
苦笑する彼女は何時も通りだ。
復帰したばかりの彼女を支える、それは自分の役目だと改めて意識に刻んだ。
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bkm
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