「ぇえ? じゃあ今屋敷は交代制の見張りだけ?」
「ああ……まったく、勝手な奴だ」
城で復帰の報告を済ませたセシルは、ホールで待っていたリオンの話に驚きを見せていた。
「いくらなんでも……自分の身内にくらい一言言えばいいのに……」
「アイツはそういう男だ。一々気にしても仕方ない」
「そうかもしれないけど……君はどうするんだい? 屋敷がもぬけの殻じゃあ……」
「暫くは城で部屋を借りることにした。じゃないとマリアンが屋敷に来そうだからな……」
それは容易に想像出きる。だから彼は気を使ったのだろう。
「んー……でも考えてみると、君は長い休みをあまり取っていないということになるね」
「べつに休む理由が無いからな」
「……そう、か……頑張るね」
「……ん」
普段と変わらない態度を取っているつもりだが、一体どうなのだろうか少年は緊張していた。
とにかく落ち着かないのだ。
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bkm
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