「フフ、セシルもきっと喜ぶわね」
「…………」
今日は何時もより立場が低い気がする。今更ながら彼はそう思った。
「……よし、コレでおしまいね。ありがとうエミリオ」
「あ、ああ」
結構な量の荷物を持ち、リオンはマリアンの礼に頷く。
すると彼女は、白い紙箱を見せた。
「帰ったら食べましょうね、新作スイーツだって」
「何時の間に……」
しかし甘い匂いに疲れが緩和される。
我ながら単純だとおかしくなり、少年は微笑みながらマリアンと屋敷への帰路につく。
「そういえばエミリオ、何か良い事があったの?」
「え?」
「貴方なんだか、凄く嬉しそうに見えたから」
「……まあ、あったと言えばあったかな」
とても良い事が。
「時間が空いたら、セシル復帰のお祝いしましょうか」
「そうだな、明日は無理だろうから……」
1分1秒が過ぎていく。
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bkm
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