「次は装飾品ね……よそ行きのアクセサリーを皆所望なのよ」
「それを任されるマリアンは流石だな」
「そうね……お釣りをネコババしないからって面と向かって言われると複雑な気分になるわね」
「…………」
屋敷に居る時は少々おっとりしているが、今は打って変わってしっかりしている印象を受ける。
女性は色んな面からあるんだと少年は知った。
《坊っちゃんも、セシルへのプレゼントとか探してみたらどうですか?》
「な……何で僕が……」
《さりげなくプレゼントするのってポイント高い気がしますよ》
「む……」
そう言われてしまったら気にならないわけがない。
気にしない風に装いながら商品棚を見渡す。
《……坊っちゃんって、なかなか大胆ですね》
「うるさい……」
買ったのは指輪。決して高い物ではないシンプルな物だが、着飾らない女性には合うだろう。
しかしマスターのまさかのチョイスにシャルティエは笑うしかない。
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bkm
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