呆れた様子の相棒に少し苛立ちを覚えたウイルだが、相手が珍しく神妙な面持ちを見せた為反論はしない、というより出来なかった。
「国民を守るのも確かに大事だけど、自分にとって大事な人を守るのも男の美学ってヤツだろ」
「……男である前に軍人だろう」
「忠誠心高いもんな、お前……」
「その言い方だと、お前の忠誠心は低いみたいだが」
反論意見は無い。
今度はウイルが溜め息を吐く。
「よくまあ、隊長候補になれたものだ」
「お前だけじゃ不安だったんじゃねェ?」
「何だと?」
「何だよ」
そこで前から咳払いが聞こえ、2人は睨み合いを止める。
「ていうかさ、リオン様の匙加減で隊長決まるならゴマくらいすっときゃよかったかなァ」
「馬鹿を言うな、本来の自分の実力で上り詰める事に意味があるんだろう」
「おー、カッコイイ事言うじゃん。クソ真面目の石頭な所はアレだけど、そういう所は尊敬してやんぜ」
「尊敬と言いながら上から目線じゃないか」
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bkm
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