「おおリオン様、今日は何用で」
にこやかに笑う屋敷の主だが、内から出るふてぶてしさは隠し切れていない。部屋には変わらず、様々な曰く付きの品が飾られている。
しかし来た以上、用は果たさなければならない。
「宿にアタモニ神団の司教が泊まっているのは知っているな?」
「ああ……それがどうしたんです」
「その弟子が体調を崩してな……しかし司教は急ぎの用で大神殿に戻る必要があって、先程派遣してきた兵と共に村を出た」
そこまで説明するとウォルトは察したのか細かく数回頷く。
「はっはーん……つまり私共に、その弟子の面倒を見てくれと」
「そういう事だ。出来れば回復した後に神殿に送ってやってほしい……頼めるか?」
「リオン様の頼みとあっちゃあ断るわけにはいきませんよ、任せておいてください」
「ん……ああ、頼む。くれぐれも、怖がらせたりするなよ」
注意に対しウォルトのは笑った。
それによって不安が募ったのは気のせいではないだろう。
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bkm
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