彼の答えにルウェインは言葉が詰まっていた。スタンの祖母の事もよく知っているのか、まるで黙祷をするかの様に目を伏せる。


「そうですか……暇が出来たら、二人に会いに行きましょう」

「はい、じっちゃんもばっちゃんも、きっと喜びます」

「ああ……任務が良い結果で終わる様に祈っていますよ。リオン、セシル、またその内に」


 深々と一礼した後ルウェインは去って行った。

 スタン以外が呆然としている中、セシルが呟く。


「不思議な縁もあるもんだね……」

「ああ、びっくりしたよ俺」

「ていうかアンタ、何気にコネが出来たわね。兵士の夢に近付いたんじゃない?」

「え、そう?」


 何故か照れる青年とは対照的に、リオンは眉間にシワを寄せ俯いていた。

 気付いたセシルが彼に小さく声を掛ける。


「リオン、君は君だよ」

「……! セシル……」

《そうですよ、さあ今度こそ大神殿へ行きましょう坊っちゃん》


 二人に背中を押され彼は頷き、スタン達に出立を告げた。

 セシルは一人、己を殺す少年剣士を見つめる。


「エミリオ――」


 君は、君で。



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