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「それにしても彼女、大分ヒューゴから巻き上げていたね」

「強欲の魔女その物だな……まったく」

《アトワイトは慣れてるみたいでしたねェ……流石ですよ彼女》


 スタンが戻って来たのは数十分経った後。ルーティの姿は無いが、彼は迷いが晴れた様な顔をしていた。


「えっと……ゴメン」

「いいえ、ルーティさんとお話は出来ましたか?」

「ん、うん」


 フィリアの質問に彼は満面の笑顔を見せた。訊いた彼女も釣られて笑っている。


「おい、さっさと行くぞ。陛下を待たせてるんだ」


 兵を連れて発着場へ向かうリオンを、他の皆は追う。

 その間も彼等は会話を続けたが、続ける程に別れを感じていた。


「なあ、ディムロス」

《……何だ》

「ありがとな」

《フン……マスターをサポートするのが我の役目だからな》


 発着場には王とドライデン、そしてヒューゴが居た。

 リオンは眼を細めるが、すぐに普段の剣士としての表情を作る。


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bkm

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