誰もイクティノスについて触れないのはウッドロウへの気遣いなのだろう。
治す手段は無い、それが現実なのだから。
《まあ、マスター候補は近くに居るのだから鞍替えも悪くはないだろうな。セシルの方が剣士としてお前より上なのは変えようのない事実だ》
「う……それは……」
スタンも認めるディムロスのマスター候補であるセシルの実力。
本人は苦笑しながら謙遜していた。
「私なんて叩き込まれたのをそのまま使ってるだけだよ。それにスタンの方がディムロスのマスターとして相応しいと私は思う」
「そう? アタシもアンタの方がソーディアン使いこなせると思うんだけど」
半ば冗談でルーティはディムロスの話に乗ったが、笑って流すと思っていた彼女は予想外にも神妙な表情を見せる。
ただ神妙なのではない、何かがあると匂わせる表情。
「私なんて……ソーディアンを使う資格は無いよ」
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bkm
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