「リオン」
「……セシル」
城に入ると玉座の間に続くホールでリオンが待っていた。しかし彼は何処か落ち着きが無く、セシルと眼を合わせようとしない。
セシルは他の皆を玉座の間に向かわせ、その後ろを歩きながら声を掛けた。
「リオン?」
《坊っちゃんはセシルが他の皆と街に行った事に、ちょっとヤキモチ焼いてるだよ》
「シャル……!」
《本当の事でしょう?》
確かにそうだ、偽りは無い。
押し黙るリオンに彼女は苦笑し、軽く手を握った。
「私は、君と一緒に居るよ」
「……! ……ああ」
横目でだが眼が合い互いに微笑んだ後、ゆっくり手を離し玉座の間へと足を踏み入れる。
前回と全く同じ顔触れがそこにあった。
「皆、揃ったようだな。では改めて、会議にて決議した案を確認しよう」
コレで終わりだと誰かが言ったかもしれない。
確かに終わりだろう、序章は。
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bkm
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