「あれ、そうだったかな……?」
悩む田舎の青年を他所に、リオンとルーティは三人組を冷たい眼で見つめている。
取り越し苦労だったねと、セシルは皆に声を掛け広場から離れた。
「な、何だったんだろうね、彼等は……」
「きっと芸人か何かよ、心配して損したわ……ね、マリー」
「ああ、何も無くて良かった」
「前向きね……」
では今度こそ大神殿にとセシルが出立を宣言する直前、老いた男性の声が客員剣士の二人に掛かる。
反射的に声がした方を向いた瞬間、普段から伸びている二人の背筋が更に伸びた。
「ルウェイン将軍閣下……!」
「二人共、そう固くならんでくれ、普段通りで構わないよ」
七将軍の一人であるルウェインの登場に一瞬皆緊張したが、彼の微笑と言葉にそれはすぐに解ける。
ルウェインはリオンに尋ねた。
「任務中かね?」
「はい」
「そうか、ではこの人達は……」
「将軍が気に掛ける様な者達では――」
prev next
bkm
[back]