声を張り上げようとするドライデンを止め、王はスタンに訊いた。
「何故だ? そなたの夢が叶うのだぞ?」
その上王直々の申し出ならば、出世も現実になるだろう。
だが彼は、自分の言葉を撤回する事は無かった。
「この旅で分かったんです、確かに夢も大事だけど、それ以上に家族が仲間が大事なんだって。
それで俺、家出同然で出て来ちゃったから、きっと家族が凄い心配してると思うんです。だから今は、故郷に帰ろうかなーって……」
王の誘いを断るという後ろめたさがあるのか、彼は苦笑いを見せる。
対して王は、頷きつつ笑った。
「なるほど、そなたの考えはよく分かった」
「すみません……」
「いや、確かにそなたの言う通りかもしれんな。家族をないがしろにする物に軍人は務まらんだろう。
この話は保留としよう、心が決まったら訪ねてくるがよい」
「あ、ありがとうございます!」
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bkm
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