「あ」
「どうした?」
「マリアンにお土産買うの忘れた」
「……そうか」
こんな会話を交わせるこの時間が如何に大切なのか、彼はこの旅で理解した。
だから、目の前の女性を守らねばと、セインガルドの地へと降り立つ。
「――そうか、囚人が一人負傷したのと、グレバムについては残念ではあるが……神の眼が戻って来た事は喜ぶべき事だな」
飛行竜が到着して早々、ドライデンとヒューゴが控えた玉座の間でリオンとセシルから報告を受けたセインガルドの王は、先ず二人の客員剣士に賛辞を送った。
「リオン・マグナス、セシル・オルグレン、神の眼を取り戻してくれた事を感謝する。そして他の諸君も、国の危機に果敢に立ち向かってくれた事を嬉しく思うぞ」
賛辞に対しルーティは呟く。
「そりゃこんなティアラ付けられたらね……」
「ま、まあまあ、ルーティさん……」
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bkm
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