そう呟いた彼女に、ウッドロウは違和感を感じた。喜んでいるのは確かなのだがそれは、それが偽りである様な微笑。
疲れているのだろうか。リオンも彼女の心配をよくしていた事をウッドロウは思い出す。
「身体が冷えてきたな……中に入ろうか?」
「そうだね、マーボーカレー作ってるって聞いたから食べに行こうかな」
「それはいいな」
中に戻る際、セシルはウッドロウの腰にあるイクティノスを見た。
伝えたいのに伝えられない苦しみ、分かる様な気がした。
「あれ、起きてて大丈夫なのかい?」
「……ん」
食道でホットミルクを飲んでいるのはリオン。他の面々も食事や談笑を楽しんでいる。
セシルは彼の隣に腰を降ろした。
「何かあったの?」
「べつに……何も無い」
「そうかい? でも、良くなったみたいでよかったよ」
「……ああ」
穏やかで、何だかむず痒いと、リオンは思う。
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bkm
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