「冗談よ、流石にそこまではしないわ。で、アンタさ」
「……何だ」
とにかく早く出て行ってほしいと願いながら上半身を起こすと、ルーティが椅子に腰を降ろし彼の顔を見つめた。
「乗り物酔いしてんでしょ」
「そんな事は……」
「分かりやすい嘘ついてんじゃないわよ。船に乗る度に一人で甲板に出てりゃ、誰だって気付くわよ」
「…………」
反論する余地が見つからない上に体調が悪い事も重なり、何も言えずに俯く。
数分双方動かず、ソーディアン達も何も言わずという沈黙が続いたが、ルーティが呆れ混じりの言葉を発し沈黙の時間は終わった。
「ちょっと、手貸しなさいよ」
「……どうして」
「いいから」
「……ハァ」
反論する気力も出ず、手を差し出す。するとルーティはそれを手に取り、程好い力で揉み始めた。
「……何をしている」
「乗り物酔いに効くツボ押しよ。ちょっとは楽になるわよー」
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bkm
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