恐らく初めてだったかもしれない、彼がこんなにも感情を露にしたのは。
《……戦争の引金になった物を放置するわけが無いだろう。だが破壊は叶わず、やむを得ず封印する事にしたんだ》
不可能だと当事者が言う。それを納得しない理由は無い。
だが彼は違った。
「でも、やってみなきゃ分からないだろ」
《お前……、我の話を聞いていたのか!?》
「聞いてたさ! でも、それだけじゃ俺は諦められない!」
ディムロスのマスターであるスタンは叫ぶ。
「昔は無理でも、今はどうか分からないだろ!?」
《スタン……》
可能性はゼロではない。
その可能性に、一番最初に行動を移したのはイクティノスを手にたウッドロウだった。
「ウッドロウさん……!」
「コレは人間の手には余りある物だろう。それを消す事が出来る可能性があるならば私はそれに賭けたい」
「しかし……!」
「心配しないでくれリオン君、破壊の責任は私が取る」
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bkm
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