「コイツ……ティベリウスより厄介だな!」


 晶術が通じない、だがそれも納得出来てしまった。


「アイツ等何やってんのよ、まったく!」

「神の眼の加護か……厄介、ってだけじゃない済まないね」


 始祖竜の注意を引く為に術と矢で竜を狙うルーティ、フィリア、チェルシーを護衛するセシルは呟く。

 竜は吼え、威嚇し、その力を彼女達に向ける。


「レイ!」

「アイシクル!」


 光線と氷塊が始祖竜を襲い、神の眼から遠ざけた。

 だが当然、竜もただ攻撃を受けているだけではない。その翼で風を起こし、二人の詠唱の妨害をする。


「くっ、――!」


 風に負けまいと重心を前に置くセシルの前にグレバムは現れた。

 向かい風を受ける此方に対して、相手は追い風を受けている。剣で受けたイクティノスによる一撃は重く、僅か重心が後ろに押された。


「調子に、乗り過ぎだ……!」

「フン、国の狗が言うではないか」


prev next

bkm

[back]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -